移住体験談

梁智恵(やん・ちえ)大韓民国 慶南居昌出生

国際移住者になる

2000年、33才の私は韓国での生活につまずいて気分転換のために知人が住んでいる山形にやってきました。
山形には、40年ほど前、ある自治体が農村への外国人花嫁を斡旋したことにより韓国、中国、フィリピンなどから国際結婚で来られて定住している外国出身者が6000人程度います。最初に嫁いた嫁達が自分の国から紹介して2陣3陣と国際結婚で山形に来られたのでした。
私も知人の紹介で山形の男性とデートしたことがきっかけで、自然美しい山形に移住することを決めました。実際に住んでみると山形は良いところがたくさんあります。すべての市町村に温泉があり、都会の人が味得ない温泉のスキンケア効果は、温泉大好きになります。雪国でもあり、たくさんのスキー場があります。雪解け水は田んぼと畑に美味しい農産物を育て、「おいしい山形空港」と名付けた空港まであります。水道水はミネラルウォーターのように美味しいので生で飲めます。蔵王を始め山のなかには小川が流れる神秘的な景色を山形で発見することができます。

言葉の壁を越えて

韓国語の漢語由来の単語は、日本語の漢字と意味が同じです。私は元々読書好きで、漢字が入った本もたくさん読んでいたこともあり、日本語の漢字を頭で読んでいました。子供が生まれて、赤ちゃん番組と絵本を一緒に見てヒアリングとリーデングの練習をしていました。子供が保育園に入り、連絡帳のやり取りが出来るように作文も始めました。日本語の縦書きが出来なくて泣きながら練習したものです。日本語力を高めてくれた一番の貢献者は、漢字に読み仮名が付いている聖教新聞です。新聞を毎日読むことで文法が自然に身に付き、作文力も習慣的に身に付きました。読み書きを必要とする仕事に挑戦したのが介護の仕事です。介護の仕事を始めて3年後に介護福祉士いう国家資格を取り、8年後には介護支援専門員という資格を取りました。

日本語を学びたい人は

介護の資格を取るためのテキスト勉強はN2レベルの日本語力が必要です。私は独学で時間をかけて日本語を学んでいましたが、今になっては、「大学の留学生別科コース」をお勧めします。山形にある東北文教大学短期大学部留学生別科では、たった1年間で大学入試レベルの日本語に育ててくれます。しかも山形は生活費が安いため、日本語を学びたい人は絶対に山形に来た方がいいと思いますね。
また、人を相手にする介護の仕事も、コミュニケーション能力を高めてくれますので、日本語力を磨きたい人は、絶好の仕事だと思います。

地域住民として、介護職員として生きる

外国出身者が、日本人とコミュニケーションを取る仕事は、日本の組織のルールや日本人の考え方を理解する必要があります。そのために、日本人友達作りはとても大事なことであり、理解不足による異文化摩擦が起きたときには、いつも日本人友達が見守ってくれました。
国と国の協定により来られた外国人労働者は、地域住民とオープンな関係になりにくく、自国の仲間だけで話し合っていたら勿体ない気がします。せっかく日本に来て日本語と日本文化を身に付けるためには、地域のなかに入り、住民として生活者として日本人と仲良く暮らしたほうが幸せですよね。
日韓関係のマスコミ報道だけを見るとマイナスイメージに捉えますが、実際に山形で住んでいる私達定住外国人は、外国人としてではなく、同じ職員、普通の生活者として受け入れています。

介護の仕事は開運の仕事

日本は、人口減少社会において、介護現場の人手不足も深刻な状況です。移民反対の日本政府は、外国人介護人材が入ってくるように入り口の法を作っています。
その一つが「介護留学生ビザ」です。このビザを手に入れるためには介護福祉士を養成する専門コースに留学する必要があります。
介護の仕事は、人間の命を支える聖業と言えます。人間誰もが老いていくことは避けて通れないみちであり、老人に優しくないひとは、自分もいずれ歳を取り、弱い老人になることを考えられない人間だと思います。韓国人は儒教の影響により親や高齢者を敬う文化があります。私も遠く離れている両親に親孝行できない代わりに、他人の親を真心で介護しました。その陰徳が心の財産となり、順調に資格が取れる陽報として現れたと信じています。
日本は介護保険制度先進国であり、日本に来て介護資格を取り、プラス日本語力を備えた人は、母国に帰っても資格は活かせます。両国を自由に生きる財産を築くことで100年人生の準備ができるのではないでしょうか。

これからの私の役割

グローバルな時代を生きるため、多文化共生社会を作ることは避けて通れない道であります。異文化を経験した私達定住外国人と日本人有志でNPO法人グローバル福祉サービスを立ち上げました。
山形に日本語や介護を学びに来る海外の人を全力でサポートすることができます。大学、企業、行政とも連携し、学費支援、居住支援もできるように準備していきます。
現在の私のボランティア活動として、蔵王温泉スキー場がある上山市の皆さんとハングル教室をやっています。K-POPが好きな方、韓国ドラマを楽しみたい方達と友達になり、楽しい教室にしています。
NPOの国際交流担当として、海外と山形を繋げる懸け橋となり、お互いがWin-Win関係を築けるように頑張っていきたいです。

梁智恵(やん・ちえ)のプロフィール

2017年12月 ハングル教室の皆さんと

1967 大韓民国 慶南居昌出生
2000 日本山形県に嫁ぐ
2008 介護福祉士取得
2013 介護支援専門員取得
2018 日本福祉大学通信4年卒業
2020 社会福祉士取得
その後は現在まで高齢者福祉専門職として働いている。

移住体験談一覧

  1. 梁智恵(やん・ちえ)

    介護福祉士取得
    介護支援専門員取得
    日本福祉大学通信4年卒業
    社会福祉士取得

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